会社設立にあたって準備すること
会社設立にあたって準備することは
少なく見積もっても11項目
会社設立時にはいろいろなことを事前に決めておく必要がありそうです。では、具体的にどのようなことを決めておくのでしょうか。おおよそ、下記となります。
- 商号
- 本店所在地
- 会社設立日
- 事業年度
- 事業目的
- 資本金
- 発起人
- 発行可能株式総数
- 役員構成
- 取締役会
- 役員の任期
以下で、それぞれについて解説します。
会社名(商号)を決める
会社名を決める際には、次の3点に注意しましょう。
1.会社名のどこかに「株式会社」「合同会社」などの会社の種類を記載する。
「A株式会社」や「合同会社B」等、設立する会社の形態を会社名に記載する必要があります。
2.見た人の誤認を招くような会社名は使用不可
銀行業を運営していないにも関わらず「C銀行」という会社名を使ったり、会社名であるにも関わらず「D事業部」と会社の一部門を示したりするような名前をつけることはできません。
3.有名企業と同じ会社名は避ける。
詐欺防止といった観点から、有名な企業と同じ会社名を付けることは避けるべきです。
このように最低限のルールは設けられていますが、基本的には会社名は自由に決めても差し支えありません。
本店所在地を決める
本店所在地とは「本社の住所」です。自宅や賃貸オフィスなどのほか、バーチャルオフィスやコワーキングスペースも本店所在地として認められています。本店所在地を決める際に注意したほうがいいのは、「契約内容」です。
賃貸物件を本店所在地にしようとしても、契約内容に「法人不可」とあれば契約を解除される可能性もあります。
会社設立日を決める
登記申請を行った日が会社設立日になります。土日祝日は設立日にできませんが、その他には会社設立日にできない日を定めるルールはありません。
会社設立日を特定の日にしたいときは、その日に登記申請ができるように定款作成や定款の認証など準備を進めておきましょう。住民税や消費税との関係で会社設立日を決めてもかまいません。
事業年度を決める
事業年度は、会社の決算を行う対象となる1年の区切りです。何月を期首とする1年間を事業年度にするかを決めます。日本の会社の多くは4月期首、翌年3月末を期末としています。
ただし4月が期首でなくてはならない規則はありませんので、自由に事業年度を決めることができます。
事業目的を決める
事業目的は定款の作成のために準備しておかなくてはならない設立事項の1つです。会社設立の際に注意しなくてはいけないのは、定款の事業目的に記載のない事業は行えないという点です。
事業目的は1つだけでなく複数個書くことが認められているため、将来行う可能性のある事業についてはあらかじめ事業目的として書いておく方が安全です。
もし定款に記載のない事業を行うこととなった場合でも、定款変更手続きによって事業目的を変更することはできます。
資本金の金額を決める
会社法では、会社設立の際に必要な資本金は1円以上とされています。金融機関などからの融資利用を考えている場合は、自己資金10分の1以上と記載されている場合が多いですが、事業内容によりますので、借入希望金額の3分の1は資本金としておくことが理想。
また資本金が1,000万円を超えている場合は、課税売上額に関わらず設立初年度から消費税の課税対象となります。資本金の金額はこれらを踏まえて考えましょう。
会社設立および経営のための
資金調達(助成金や融資)方法を
見る
発起人を決める
発起人は、会社に出資する人のうち、会社を設立する人のことで、定款の作成などさまざまな役割を担います。発起人の人数に制限はありませんので、1人にもできますし、複数人を発起人にすることも可能。法人を発起人にすることもできます。
発起人の住所と氏名は、定款に必ず記載しなければならない事項です。発起人の引受株式数と出資額もあわせて記載しておきましょう。現物出資をする発起人がいる場合は、その財産の種類と価額についても記載が必要。
出資財産(現金・現物出資)を決める
出資金は現金で準備するのが一般的ですが、現物による出資も可能。現物とは、不動産や市場価値のある有価証券、自動車、機械、パソコンなど、財産としての価値があるものです。知的財産権などの無形固定資産も現物出資として認められます。
ただし現物出資するものによっては、金銭のように客観的な価値を評価するのが難しいものもあります。現物出資については、価値が過大に評価されないよう厳格な規制がありますので注意しましょう。
発行可能株式総数を決める
株式会社設立にあたって、定款に必ず記載しなければならない事項の1つに「発行可能株式総数」があります。公開会社では発行済株式総数の4倍までと上限が決まっていますが、非公開会社においては上限が定められていないため、設立後の資金調達を視野に入れた高い上限の設定が可能です。
発行可能株式総数を超えた株式を発行する際には定款の変更を行う必要があるため、あらかじめ会社設立時に発行可能株式総数を高く設定しておいたほうが便利でしょう。
役員構成を決める
会社設立時には、取締役を何人にするかなど、役員構成を決めます。
代表取締役
代表取締役は、取締役の中から選定します。取締役会を設置しない会社は代表取締役を選定しないこともできるため、この場合は、取締役全員が代表取締役になります。
取締役
取締役は、設立時取締役を定款で定めて選任する方法と、発起人の決議によって定める方法があります。発起人の選任で決めるときは、設立登記申請時に発起人の決議を証明する書面の添付が必要です。
監査役
監査役は、取締役の職務を監査する役目と会計を監査する役目があります。監査役は、設立する会社の機関構成によって、置かなければならないケースと置かなくても良いケースが存在します。
取締役会を設置するか決める
取締役会とは、取締役3名以上で構成される意思決定機関を指します。取締役会に与えられる権限は、代表取締役の選定や解職、取締役の職務の監督などです。
取締役会は、公開会社には設置義務がありますが、株式譲渡制限会社には設置の義務がありません。株式譲渡制限会社では、取締役会を置くか、置かないか、任意に決定できます。
取締役や監査役の任期を決める
取締役と監査役は会社法に任期の定めがあり、取締役は原則2年、監査役は原則4年が任期となります。代表取締役は取締役の任期に基づくため、取締役の任期が満了したら退任することとなります。
取締役や監査役が任期満了後も引き続き役員となるとき、あるいは任期満了にともない役員を変更するときは、役員変更の登記が必要です。
以上が、会社設立にあたって準備することとなります。実際にご覧いただいていかがだったでしょうか。いざ会社を設立するにあたって現在の事業がおろそかになっては本末転倒です。重要なのは専門領域をきちんとプロに任せ、自分は本業に集中できる環境整備することなのです。