事業を大きくしてバイアウトも視野に
出口戦略としてのバイアウトに迫る
起業する際は何かしらの出口戦略を定めていることが多く、ベンチャー起業であれば、会社を作る段階から、バイアウトを視野に入れていることも珍しくありません。
近年では、起業から数年足らずでバイアウトを行うベンチャー企業も増加傾向。ベンチャー企業の出口戦略の一つとして、バイアウトが浸透しつつあるようです。ここでは、バイアウトについて解説いたします。
バイアウトとは
バイアウトとは、買収対象企業の株式を買い取ることによって、経営権を取得することをいいます。
企業の経営者視点で見ると、自社の株式を売却することで創業者利益と引き換えに、経営権そのものを他者に譲渡することという意味になります。
バイアウトのためにベンチャー起業をする
ベンチャーの目的の1つに、革新的なビジネスモデルを創出して世の中の課題解決に取り組み、経済的利益を得ることというものがあります。
技術革新が世の中に与える影響は大きいですが、これはあくまでも企業としての目的です。ベンチャーの経営者個人が利益を獲得するための方法としてバイアウトがあります。
ベンチャーが作り上げたビジネスモデルを大手企業が豊富な資金で買収するという流れがあるので、バイアウトのためのベンチャーの起業が成立しています。
バイアウトによる出口戦略
ベンチャー起業の出口戦略として代表的なバイアウト。その方法には以下の3種類があります。
MBO
MBO(Management Buyout)は、創業者やオーナーが既存株主から株式を買い上げて経営権を取得することをいいます。
EBO
EBO(Employee Buyout)は、従業員が既存株主から株式を買い上げて経営権を取得することをいいます。
LBO
LBO(Leveraged Buyout)は、譲受企業が譲渡企業の資産や将来のキャッシュフローを担保に金融機関等から資金調達を行い、株式を買い上げて経営権を取得することをいいます。
ベンチャーの出口戦略としてバイアウトが増えている理由
近年はバイアウトを選ぶケースが増えてきています。ベンチャー起業の出口戦略の一つとしてバイアウトが注目されている理由としては、以下の4つの理由が挙げられます。
- IPOを成功させる難易度が高くなっている
- VCなどの増加によりバイアウトが人気
- 経営資源が不足したことでバイアウトが増加
- 売却資金による新たなベンチャー起業
IPOを成功させる難易度が高くなっている
IPOを成功させた場合のメリットは大きいですが、そのためには厳しい審査を通る必要があります。
VCなどの増加によりバイアウトが人気
バイアウトの譲受側はVCなどから株式買取資金を調達しています。近年では日本国内のみならず海外でも増加傾向にあるVC。それにより、バイアウトのための資金調達が行いやすくなっているというのも、バイアウトが増える理由と考えられます。
経営資源が不足したことでバイアウトが増加
企業が利益を生み出すためには、当然、経営資源が必要。業界の動向や社会全体の変化などにより、物価の高騰、人材の不足といった影響が現れます。そういった影響が経営資源を枯渇させ、経営を維持できなくなるケースも珍しくありません。
売却資金による新たなベンチャー起業
ベンチャーをバイアウトすると売却資金を獲得できます。売却資金を元手に新たに会社/事業を興し、再度バイアウトを目指す「連続起業家」という存在も注目されています。
起業してからは、バイアウトという出口戦略を意識しながら経営していきましょう。
そのためには、まずは会社を軌道に乗せる必要があります。